テーマ 2002年 馬の年(45座)

2002(平成14)年2月1日


 

表紙

 馬がその国にはいなかった。国王はそれをとても心配し、家来を四方に遣わして、優秀な軍馬を五百匹集めて、万が一の戦争に備えた。幸い、馬を使うことがなかったが、養うのに莫大な費用がかかった。困った国王は、考えた挙げ句、馬の目を覆うて、臼曳きをさせた。馬は鞭を打たれる度に、ぐるぐる回ってその用を達したのでとても役に立った。
 ところがある日、突然に隣の国が攻めてきて戦争になった。そこで国王は五百匹の軍馬を連れて戦場へ向かった。しかし、肝心の軍馬は平素、臼曳きばかりさせられていたため、鞭を打てば打つほど、ぐるぐる回るばかりで、あっという間に、敵に攻め込まれ、その国は滅びてしまった。

 

編集追記

●表紙は『衆経撰雑譬喩経』というお経の中にあるお話です。今年は「馬年」ということで、浄願寺の修正会(しゅしょうえ)でも紹介させて頂きました。
●平素、私たちは、自分の中の心の馬に、何の臼曳きをさせているかということが問われてきます。
●私の場合…やっぱり、ひたすら欲望の臼曳きをさせているようにしか思えません。そんな私に対して「お前は毎日ぐるぐると回っている(流転)だけでないのか…」「いざという時にそれで間に合うのか…」「まだまだ大丈夫、ではなく、今を大切に生きろ」と言われているように感じました。
●2002年、馬の年、静かにこの声に耳を傾けたいと思います。
●とは言っても、しぶとい私にとってはやはり、「馬の耳に念仏」でしょうか…。


※この通信の発行後、数人の方から、表紙の馬の話はこの時代、戦争推進のように読んでしまうのでは…との批判をいただきました。ほんとにそうです。お経とはいえ、いや、お経だからこそ、気をつけていただきたいと思います。

 


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