滋賀/長浜 真宗大谷派浄願寺

滋賀県長浜市のお寺
-真宗大谷派浄願寺-


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2025年06月09日 ▼「解放の親鸞思想に学ぶ」に参加しました。
同関協発足50年記念近畿ブロック研修会
2025年6月9日(月)〜10日(火)
会場 長浜別院大谷会館 木之本総合センター 信楽会館(しんぎょうかいかん)
主催 同関協近畿ブロック・同関協東海ブロック
※同関協…真宗大谷派同和関係寺院協議会
(文責澤面)
開催趣旨
 かつて真宗教団は、親鸞聖人が「御同朋・御同行」と大切にされた人々に対し「十三箇条掟書」で「旃陀羅」の語をもって一部排斥(差別)してきた。江戸宗学〜近代教学になると、真宗大谷派の中でも「旃陀羅とは日本の穢多のこと」「前世の宿業で穢多に生まれた」などと法話で説く僧侶があらわれた。被差別部落の人々に対し、僧侶になるための得度(剃刀)儀式が本山ではしてもらえず、本山への納金が、他派の記録と同様に5割増であったと考えられるなど、差別は拡大を続けた。やがて、教団・僧侶はそこに差別がある事を認識しなが
らも、差別の克服ではなく、差別助長や搾取をしてきたのではないかと糾弾されることとなった。
 一方、差別的な教団体質の中において、武内了温・井元麟之・朝野温知・廣瀬杲・泉惠機・小森龍邦、等の先生方は「親鸞思想は一切平等を開顕する解放の思想である」と受けとめ、差別と闘ってこられた。今回、同関協発足50年記念近畿ブロック研修会では、諸先生方と縁の深い方々を講師としてお迎えし開催します。合掌
講師
岡田英治さん(部落解放同盟広島県連委員長)
テーマ「真宗大谷派への願い」

井上円さん(真宗大谷派擬講・新潟教区淨泉寺住職)
テーマ『観経』の「是旃陀羅」私見について

田邉九二彦さん(NPO法人湖北じんけんネットワーク代表理事)
テーマ「朝野温知師に学ぶ」

早川紀久子さん(朝野温知さんのご息女)
テーマ「父 朝野温知」
▲岡田英治さん(於長浜別院大谷会館)

▼住職からひと言
岡田さんの『観経』は仏説と言われるが、差別社会を良しとするバラモン思想の混入は考えられないのかという言葉があらためて心に響いた。これは8年前この場所で(解放特伝)小森龍邦さんからも聞かせて頂いた初めての言葉でした。
▲井上円さん(於長浜別院大谷会館)

▼住職からひと言
誤った「旃陀羅」への解説が多い中で、井上さんの師である廣瀬杲さんの語注

「旃陀羅」は誤れる種族差別観の犠牲として生まれた種族という
(現代の聖典 学習の手引き363頁)

をいつも大切にしたいと思っている。「旃陀羅」は犠牲になられた人々なのです。
▲田邉九二彦さん(於木之本総合センター)

▼住職からひと言
 今回も田邉九二彦さんから朝野温知(あさのよしとも)さんのことを丁寧に聞かせて頂きましたが、ここに朝野温知さんのことを添えさせて頂きます。
 武内了温さんから「温」の一字をもらわれた、同じく真宗大谷派僧侶として解放運動に生涯を尽くされたのが朝野温知さんです。1946年、木之本町廣瀬に入寺され、そこに廣瀬保育園を開設され、子どもたちと共に念仏の教えの中、反差別の精神に生き抜かれた人です。
▲早川紀久子さん(於信楽会館)

▼住職からひと言
 早川さんのお話をこの信楽会館で聞かせて頂くと、私にはやはり次のことが思い起こされます。
 32年前私が浄願寺に入寺した頃、ここ信楽会館の定例法座(毎月朝野温知さんの月命日の2日ではなく、二十二日講からの22日で、正信偈・御文・法話)に何度も来させて頂きました。朝野温知さんはすでに還浄されていましたが、ご伴侶である早川紀久子さんのお母さんのクニさんは私をとても可愛がってくださり、いつもの特性のぜんざいを間に長い時間お話させて頂いたことを思い出します。
 また、朝野温知さんの三十三回忌法要の時には、門徒さんや東本願寺の解放運動推進本部、その他有縁の人たちの中、泉惠機先生の命令(笑)により導師(調声)をしたことも良い思い出です。
▲岡田英治さん(於信楽会館)

▼住職からひと言
「講義2」では岡田さんは「大谷派への願い」を次のように整理して、まとめられました。

「是旃陀羅」問題
ア、書き下し文に沿って「是旃陀羅」の文脈を素直に読み、

イ、忠実に読解してその客観的差別性を認め、

ウ、この問題を長い間放置していたことを懺悔し、

エ、実害(差別の温存・助長)にならないために最大限に出来る現状変更の措置を。変成男子、根欠の問題も同水準の対応を。
(同関経)発足50周年記念大会に参加しました。
3月13日(木)14:00〜於しんらん交流館 大谷ホール
講師 東舘紹見氏 大谷大学教授 東北教区盛岡組善林寺住職
テーマ 現実のただ中で仏の言葉を聞くこと

はじめの言葉

ともに悲しむものとなりうるか ―50年の歩みとこれからー
一昨年、「同関協」は宗祖の御誕生と立教開宗を讃仰する機会をいただきました。「あなた 人間 忘れていませんか?」をテーマに、私たちは宗祖に背いてきた慙愧の念から『仏説観無量寿経』の「是旃陀羅」の語が「読めない」ことを表明しました。
「読めない」は、「読む」か「読まない」という読誦の意思の問題ではありません。「ご門徒仲間からさえ人間らしい付き合いがしてもらえなかった」(※)という背景をもった同行の仏前で、声が出せない、出ないという「同和関係寺院」を名のるメンバーの現場の声であり、儀式を執行する僧侶の責務として、定められた法要式に則った経典の文言を読誦できないという苦渋の表明です。しかしながら、その「読めない」ところに、僧侶と門徒という立場を超えた親鸞聖人の同じ門徒の「人間らしい付き合い」を思うのです。
慶讃法要記念大会
★2023年4月12日、「同関協」宗祖親鸞聖人御誕生八百五十年
立教開宗八百年慶讃法要記念大会が開催されました。

▼しんらん交流館、東本願寺御影堂門前に於いて、真宗大谷派同和関係寺院協議会(同関経)の記念大会が開催されました。私はその時に拝読された「表白」にとても感銘を受けました。ここに掲載させて頂きます。また当日配られた冊子から規程前文と趣意書を左記に抜粋させて頂きます。重ねてどうかお読みください。


「同関協」宗祖親鸞聖人御誕生八百五十年・立教開宗八百年慶讃法要記念大会

表白

あなたのご誕生から八百五十年
真宗を開顕されて八百年の時をいただいて申し上げます

あなたが大切にされた『観無量寿経』
そのお経の「是旃陀羅」の語
わたしたちはいま 読まれると痛いという声を聞いています
あなたならどうされるでしょうか
その言葉に傷つかれたお同行の指摘に耳を傾けることもせず
百年が過ぎました

釈尊をはじめ 七高僧から学ばれた尊いお聖教
あなたは そのご註釈のなかで
その言葉に表向きに触れず 裏書のメモに留められました
この態度をわたしたちはどう受けとっていったらよいでしょうか

これまで差別によって傷つかれた同行の訴えに
ご開山に申しわけなかったという気持ちはないんですか
という信心の呼びかけがありました
彼らはじぶんたちへのお詫びを要求したのではなく
彼らが心から敬うあなたを 冒涜していることへの訴えでした。

わたしたちはいま 読まないでほしいといわれながらやめられないでいます   

差別のない世界を願いとしながらも
無自覚に読誦してきたことへの慙愧として
わたしたちは その言葉を読めなくなりました。
傷つけられた者と傷つけた者が本当に救われるまでは

あなたのご誕生をお祝いするとき 感謝とともにお詫びします

あなたは「無慙愧は名づけて人とせず」と引いてくださいました
慙愧するところに人と人がはじめて生き遇えることを見るとき
傷つけられてきた同行の問いを思い出します
あんた人間忘れたん どこで忘れたん
人間忘れていませんか
忘れていたことにも気づかずにいました

傷つけられた者と傷つけた者をともに救う
汝 我が名を称えよという如来からの呼びかけ
共に 朋に 友に 生き遇う世界を求めて
ここに ともに 悩み 人間を回復していく歩みを果たしていくことを
敬って申し上げます

人間を忘れません

南無阿弥陀仏

二〇二三年四月十二日

真宗大谷派同和関係寺院協議会

大谷派同和関係寺院協議会発会についての趣意書
仲秋の候 御尊院にはご清祥の段大慶に存じます。陳者 此の度同和問題について国民的課題として差別の完全解放運動が行われておりますが、吾宗門も前難波別院輪番による差別事件を機縁としまして、八回に及ぶ解放同盟の糾弾を受け宗門人として誠に慙愧も耐えない状態の中で同和部を設立し、本問題の全宗門的運動として展開致しておりますが、現実は遅々として全門末に及んでいない有様であります。然もこの被差別の未開放部落は、大部分宗祖聖人の御教を信ずる門徒であり、その苦渋と血のにじみ出る解放への叫びは同和関係寺院の共感する声であり責務でありますと共に、その願いに挺身せねばならない事は言を俟たない事実であります。国に於きましては同和対策事業特別措置法が制定され十ヶ年の期限立法として本問題にとりくんでおりますが、既に早六年に及ぶ中で、なかなかその施策の困難さがうかがえておる現在、期限の延長の見通しも暗い状況であり、非常なあせりをおぼえる状態であることは周知のとおりであります。吾宗門内にありましても、とくに同和関係寺院が、今こそ相提携して、この完全解放が達せられますよう、真剣に結集し、その運動の展開に遇進しなければ、宗門人としては勿論、宗祖聖人の念仏の教すら失われる結果となりましょう。一日も早く完全に解放できる社会を念じここに協議会を新たに発足させて参りたい所以でもあります。何卒御尊院の全幅の御賛同をお願い申し上げます。
昭和四十九年九月六日 
大谷派同和関係寺院協議会 発起有志委員一同

「同関協」規程前文
差別に苦しむものが一人でもいるかぎり
その差別からの解放を自らの課題とする

あとがき
▼真宗大谷派のすべての寺院が部落差別問題と密接に関係があると思います。「同関協」にまだの寺院はぜひとも加盟されてはどうでしょうか。(電話075-371-9247)
▼最後に同じく冊子から「是旃陀羅」問題に対する「同関協」の基本姿勢の結びを掲載させて頂きます。

悲しみが極まると涙は涸れるといいます。胸中で涙を流し、怒りに震えるご門徒。声を挙げず黙って願い続けておられるご門徒。そして『観経』の読誦に感じる痛みを、勇気をもって発せられた声。その声にいかに耳を傾け、受け止め、向き合っていくのか。私たちに求められるべき姿勢は共に悩むものとなりうるか、ということです。

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