滋賀/長浜 真宗大谷派浄願寺

滋賀県長浜市のお寺
-真宗大谷派浄願寺-


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●テーマ 2001年 報恩講(44座)

2001(平成13)年12月15日

表紙
右手と左手

一郎君の手が言いました。「僕は右手です。僕はいつも役に立っています。ごはんを食べる時にお箸を使うのも、勉強する時鉛筆を持つのも、工作の時間に小刀を使うのも僕です。大事な仕事は皆、僕がやるんです。左手はいつも楽をしていますが、僕は働き者です。」おとなしい左手は黙って聞いていました。

ある日、一郎君は、自転車で走っていて転んでしまいました。アッと思った時には、すりむいた左手から血が流れていました。病院へ行くと先生は、傷口を縫ってからぐるぐると、包帯をして下さいました。一郎君はその晩、「痛い痛い」と言いながら、寝苦しい夜を過ごしました。

次の朝、顔を洗おうとしましたが、うまくゆきません。水をすくっても片手では、いつもの半分もすくえないのです。服を着るにも時間が倍もかかってしまいました。ごはんを食べる時には左手がお茶碗を持ってくれないものですから、ボロボロとこぼしました。包帯をしたまま学校へ行って勉強が始まりました。鉛筆で字を書くのは僕だと思っていた右手ですが今日はうまく書けません。左手がノートを押さえてくれないからなのです。工作の時間には彫刻をすることになりました。右手は小刀を使えるのですが、左手が彫る板を押さえてくれないものですからどうにもなりません。

何でも出来ると思っていた右手は、左手が助けてくれなかったらこんなに困るとは、思いもしませんでした。自分だけでは半分の仕事も出来ないのです。いつも黙って僕を助けてくれていた左手に、えらそうなことを言っていて、悪かったなあと思いました。白い包帯をぐるぐる巻かれてじっとしている左手を撫でながら、右手は言いました。「ごめんよ。いつも君をばかにして。」


『ほとけの子』青柳田鶴子著より
十一月三十日(金)
午後二時からの初逮夜の後、親鸞聖人のご生涯が綴られた御伝抄の拝読です。
↑皆でお勤めです。
↑上巻は澤面宣了(当寺住職)です。
↑下巻は樋上聡さん(東本願寺)です。
一二月一日(土)
午前六時からの晨朝の後、樋上聡さんの御文の拝読、黒田進先生(宮司町 満立寺住職)の法話です。
↑黒田進先生の法話です。
黒田進先生さんからのひと言です。
すべては、仏法の御用のもの、私たちはまわりにある色んなものを私物化していないだろうか。
午前九時半からの日中の後、澤面真世氏(当寺坊守)の御文の拝読、樋上聡さんの前座法話、黒田進先生の法話です。
↑澤面真世氏(当寺坊守)の御文の拝読です。
↑樋上聡さんの前座法話です。
樋上聡さんからのひと言です。
朝のおつとめにろうそくは点けません
黒田進先生からのひと言です。
死なないでいるということと生きているということとは違う。
午後一時からの大逮夜の後、澤面宣了の御文の拝読、曽我謙成さん(一色 等倫寺住職)の前座法話、黒田進先生の法話です。
↑曽我謙成さんの前座法話です。
曽我謙成さんからのひと言です。
人のいのちまでも私たちは自分の都合で見ていないか。
↑皆でお勤めです。
↑黒田進先生の法話です。
黒田進先生からのひと言です。
本当に喜べる生き方というのは共に喜び、共に悲しむ人がいるということではないだろうか。
十二月二日(日)
午前六時からの結願晨朝の後、澤面章氏(当寺前住職)の御文の拝読、木村英淳さん(大阪 玉泉寺住職)の前座法話、黒田進先生の法話です。
↑澤面章氏の御文の拝読です。
↑木村英淳さんの前座法話です。
木村英淳さんからのひと言です。
いつも、門徒さんの悲しみ、悩みに寄り添おうとしてきた亡き父のように僕も歩みたいと思います…。
黒田進先生からのひと言です。
南無阿弥陀仏というのは、お前、それでいいのかという仏の声である。
↑法話の後、本堂であずきがゆをいただきました。
午前八時半からの子ども報恩講です。その後、満日中に子どもたち、一人ひとりからの献花です。
↑子ども報恩講です。
↑澤面宣了の法話です。
↑わたがしです。
↑献花です。
午前九時半からの満日中の後、島野政友さん(大阪 貞正寺住職)の御俗姓の拝読、高山崇さん(山階町 円乗寺住職)の前座法話、ユ ヨンジャさんの挨拶、黒田進先生の法話です。
↑皆でお勤めです。
↑島野政友さんの御俗姓の拝読です。
↑高山崇さんの前座法話です。
高山崇さんからのひと言です。
人と出会う寺という場を大切にしたい。
↑ユ ヨンジャさんの挨拶です。
ユ ヨンジャさんからのひと言です。
私とあなたの出会いは阿弥陀さんとの三角関係です。
黒田進先生からのひと言です。
私の真宗門徒の証と生活とは何か。
今年の内陣出仕者は次の通りです。

曽我謙成さん(一色 等倫寺住職)
本多一寿さん(大阪 護念寺住職)
樋上聡さん(東本願寺)
島野政友さん(大阪 貞正寺住職)
元平千生さん(高岡教務所)
黒田真さん(宮司町 満立寺副住職)
高山崇さん(山階町 円乗寺住職)
禿子慈孝さん(北方 通来寺副住職)
木村英淳さん(大阪 玉泉寺住職)
照井静志さん(長浜教務所)
こうして、二〇〇一年も報恩講に遇わさせて頂きました。準備から多様なお世話と今回、写真撮影やわたがし作りまでして下さいました総代の皆様、婦人会の皆様、子ども会の役員の皆様、子ども報恩講に際して、お菓子を下さいました藤居吉男様、そして皆々様、ありがとうこざいました。
編集後記
▼「右手と左手」の話、あなたはどんなことを惑じられたでしょうか。私は、やはり、この右手と重なります。
▼ある先生の言葉に

ご恩を知るというのは、私が生きるという厳粛なる事実を知ることである。

とあります。
▼私は「ご恩」というと、誰かに何かを頂いたことや何かする時に助けてもらったことを考えがちです。もちろんそれもあるのですが、でも、それだけでは、私がイメージ出来る程度では、決して私が生きるという厳粛なる事実を知ることにはならないと思います。
▼今、この先生の言葉や「右手と左手」の話に触れて、教えられたことは、私という存在は終始、目に見えない無数の「左手」に支えられていたということと、私は生きる限り食べるわけですから、それは同時に無数の「左手」を殺しているということをです。
▼ご恩ということをお世話になってありがとうというレベルで受け取るのではなく、もっと広く、深い世界を親鸞聖人にたずねていきたいと思います。

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