2024年10月18日 ▼滋賀県水平社創立100周年記念集会に出席しました。

▲水平社宣言朗読

▼10月18日(金)ひこね市文化プラザ グランドホールに於いて開催された滋賀県水平社創立100周年記念集会に浄願寺から住職と門徒さん(計2名)が出席しました。
▼1924年4月18日水平社創立の地は滋賀県甲賀市甲南町宝木(ほうのき)の嚴浄寺(浄土真宗本願寺派)です。あらためて今年の4月14日の法要の時の森直道(嚴浄寺住職)さんからの表白の言葉、「この世の中から、部落差別をはじめ、あらゆる差別を無くすため、私たちはこれからも、行動を続けてまいります」が私の中で最初に憶い起こされました。
▼当日は多くの来賓が出席され、誰もがこの度の記念大会に対しての敬意を表し祝辞を述べ、部落差別を通してあらゆる差別問題からの解放の願いを新たにされました。
▼その後記念講演の講師の朝治武(大阪人権博物館館長)さんが「滋賀の水平運動と融和政策」という講題でユーモアを交えながら語られました。最後にこの日に向けて執筆された書籍の中の「おわりに」を掲載させて頂きます。

 それにつけても原稿を執筆し終えた今、滋賀の水平運動に関しては、次のような感慨が浮かんできてなりません。部落差別とは、明らかに多様な人間によって形成される社会が生み出し、維持してきた社会現象ですので、人間個人だけでなく社会が部落差別を重要な社会問題として認識し、不断の努力を注ぐことによって、その克服が可能になります。
 この意味におきまして、滋賀の水平運動だけでなく部落改善運動、融和運動も、部落民を中心として多くの理解ある人びとによって進められたことは、意義が大きい歴史的事実として尊重されて記録と記憶に留められるべきです。また長年にわたる部落差別との真摯な向き合いが、現段階を築き上げた確実な土台として、非常に重要な役割を果たしたと考えられます。したがいまして、このような歴史的伝統をふまえて、今日の激動する世界と日本を見すえながら、部落民を中心として社会の全体によって、部落解放を実現するために、部落差別に対して果敢に闘っていくことこそが、未来を創造することになると確信しています。
 正直に申しますと、私にとって滋賀は必ずしも、馴染みがあって縁も深い存在ではありませんでした。しかし原稿の執筆に着手して完成するまで、本務と用件を除いて実に短い期間でしたが、不思議なことに案外と集中力が持続しました。また新しい歴史的事実の発見か連続することによって、思いのほか楽しく充実した日々になり、生育の兵庫、拠点の大阪、現住の奈良、関心の京都と同じように、滋賀は今や興味深く親近感を抱くことができる身近な存在になりました。
 執筆に際しては、文体や用語など表現について、私なりに可能なかぎり読みやすくするために、かつて経験したことがないほどの力を注ぎ込みました。したがいまして、部落問題と部落解放運動の歴史に関心を寄せられる多くの人びとによって広く読まれ、幸いにして理解していただくことになりましたら、これに勝る喜びは私がないことを、あえて最後に強調しておきたいと思います。
『滋賀の水平運動と融和政策』朝治武著より

▼この本は浄願寺本堂の文庫にありますのでぜひごらんください。(住職記)                                             

▲朝治武さん

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