テーマ 同朋(どうぼう)(244座)

2024(令和6)年7月1日


表紙

同朋(どうぼう) 住職記

■同朋の朋は月が同じく2つ並んだ文字です。親鸞聖人は月に対しては、特別な思いを寄せておられます。月は自ら光るのではなく、太陽に照らされて光ります。親鸞聖人が、

光曉(こうきょう)かむらぬものはなし
『浄土和讃』真宗大谷派 勤行集(赤本)37頁・98頁
光觸(こうそく)かむるものはみな
『浄土和讃』真宗大谷派 勤行集(赤本)40頁・99頁
光澤(こうたく)かむらぬものぞなき
『浄土和讃』真宗大谷派 勤行集(赤本)43頁・99頁

と「弥陀成仏」の次第6首の中に和讃されるように、仏の光に照らされる仏弟子の自覚と喜びを月に重ねておられます。そしてそのことからもお内陣の荘厳として、毎月の親鸞聖人の御命日の28日と報恩講法要には、月形仏供台(※下画像参照)を祖師前に奉備し、お仏供さんをお備えします。

▲月形仏供台(つきがたぶっくだい)

■また、朋の文字の成り立ちは、貝殻が同じく2つ吊るされた象形文字(※下画像参照)です。貝殻は無上の値打ちを表しています。親鸞聖人の言葉に、

値(もうあ)い『聖句』真宗大谷派 勤行集(赤本)83頁

とあるように、かけがえのない法友として、あなたと私が同じ水平に値う世界が朋です。親鸞聖人は同朋に「御」を添え「御同朋」とお敬いされています。

▲貝殻の象形文字

2頁


住職記

▼2024年7月1日より、京都教区の「部落差別問題に学ぶ同朋協議会」の副会長を拝命しました。『教区だより』(※上画像)に「ごあいさつ」が次のように掲載されました。ここにご報告させて頂きます。

 このたび、「京都教区部落差別問題に学ぶ同朋協議会」の副会長を拝命しました。
 旧長浜教区は宗祖親鸞聖人の教えが蓮如上人、教如上人、乗如上人から今日まで深く伝承されてきた土徳ある地域です。しかし伝統の裏側でいつも社会的弱者が踏みつけられてきたという部落差別もまた根強く残っています。そしてこれからも長浜特区内で行われる事業として、1999年度から毎月開催の「部落差別問題学習会」、毎年各組がそれぞれ主体となって取り組む「組部落差別問題研修会」等を継続してまいりたいと思います。それは土徳あるここに今も厳然としてある部落差別の現実を自らの課題とする願いからです。
 宗門においては、1969年に始まった難波別院輪番差別事件(※註1)を契機とする糾弾のご縁を頂きました。それはひとえに親鸞聖人から背き続けてきた私たち真宗門徒への糾弾であり、親鸞聖人へ帰ってくださいとのうながしに他なりません。社会から差別され、抑圧され、虐げられてきた人々を「いし・かわら・つぶてのごとくなるわれらなり」と共に生きられた親鸞聖人。その人を宗祖とする私たちはどこで真宗門徒といえるのだろうか。1962年以来「門徒一人もなし」(※註2)という自己批判に立って真宗同朋会運動が展開されてきた中で、今もそのことが根本から問われていると思います。
 新教区となり、私もまた「部落差別問題に学ぶ同朋」の一人として皆さまと共に歩んでまいりたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。

▼この通信では註を掲載させて頂きます。

※1 難波別院輪番差別事件 
宗門が初めて部落解放同盟の糾弾を受けたのは、1967(昭和42)年の「難波別院輪番差別事件」である。これは、当時の輪番が、被差別部落出身の男性職員と交際していた女性職員に対し交際を絶つように勧め、精神的苦痛を与えた差別事件である。この出来事は、単に輪番個人の言動の問題に止まらず、宗門の体質そのものに根強く潜む差別的体質が問題視された。
『南御堂』2021(令和3)年4月号(難波別院発行)

※2 「門徒一人もなし」
計画立案の基礎は何であったかを問わずにはいられない。それは「門徒一人もなし」という発想に立って計画を組み立てたことである。これは何も事実をいうのではない。「門徒一人もあらじ」との発想の下に、運動の計画を立て、これを推めていったのであります。
「現状を踏え、さらに躍進を!第四次五ヵ年計画立案にあたって」宗務総長 嶺藤亮
(1976年 同朋会運動発足十五年目)

編集後記

▼いよいよ新教区がスタートしました。これからは京都教区長浜第16組となります。
▼京都教区の「部落差別問題に学ぶ同朋協議会」の名称、そして「ごあいさつ」の中で触れました「真宗同朋会運動」から、今号に「同朋」についてひと言だけ書かせて頂きました。長浜教区が無くなったことは本当に悲しいことですが、今後はそこに開かれる「同朋」の世界を大切に頂きたいと思うばかりです。


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3頁

●長浜教区第16組同朋大会に出席しました。

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●長浜教区第16組住職等協議会に出席しました。

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