テーマ なぜ、友引に、お葬式を出してはいけないのですか?(14号)

2000(平成12)年9月1日


表紙

●Q(問) 
なぜ、友引に、お葬式を出してはいけないのですか?

●A(答) 
お葬式の、出せない日などありません。迷信にまどわされて、出さない私がいるだけです。いつでもさしつかえありません。友引を斎場の休日とするのは間違いです。友引とは、六曜のひとつです。室町時代に中国から渡来したときには、

大安(たいあん) 
留連(りゅうれん) 
速喜(そっき) 
赤口(しゃっく) 
小吉(しょうきち)
空亡(くうぼう)

でしたが、

江戸時代の寛政、亨和になると、      ・

泰安(たいあん)
流連(りゅうれん)
則吉(そっき)
赤口(しゃっく)
周吉(しゅうきち)
虚亡(きょぼう)

と変わり、また、同じ時代に、

大安(たいあん)
友引(ゆういん)
先勝(せんしょう)
赤口(しゃっく)
先負(せんぶ)
仏滅(ぶつめつ)

となって、はじめて「友引」という曜日がでてきます。現在では、さらに順序も変わり、

先勝(せんしょう)
友引(ともびき)
先負(せんぶ)
仏滅(ぶつめつ)
大安(たいあん)
赤口(しゃっく)となりました。

旧暦1月1日に先勝を当て、2月1日に友引を当て、3月1日に先負を当てるといったように、順送りをし、月末の六曜の余りは、切り捨てるといった方法で配当してあります。その上、文字をこじつけて、

「日に吉凶がある」

とまで、言うようになりました。友引は、初め、ともに退くということから、引き分けという意味で用いられていました。やがて

「友を引く」

という語呂あわせから、俗信、迷信となりました。いずれにしても、曜日をあらわすことに変わりはなく、現在の、日月火水木金土という、七曜と同じ意味でしかありません。ご先祖は、いのちをかけて、いのちの儚さを教え、その儚いいのち生きるわれらに、

「今こそ、正しい教えを聞きひらけ」

と呼びかけてくださっているのです。その厳粛な葬儀の場を俗信、迷信によって台なしにすることは悲しむべきことです。

「友引には、葬儀が出せない」

のではなく、

「友引には、葬儀を出さない私がある」

のです。日に善し悪しはありませんという仏の教えよりも、友引には葬儀を出してはいけないという世間の、俗信、迷信にふりまわさる私こそが、今、問われているのです。

↑『真宗門徒になるための本』真宗大谷派大垣教区出版委員会より引用


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