表白
敬って、大慈大悲の阿弥陀如来、ならびに宗祖親鸞聖人の御影前に白してもうさく。
本日ここに、有縁の道俗と共に、うやうやしく尊前を荘厳し、ねんごろに聖教を拝読して、知足山 浄願寺 報恩講法要を勤修したてまつる。
それ、おもんみれば、承安三年春のころ、親鸞聖人、日野の里に御誕生ましましけり。御年九歳にして、出家の志あり、鬢髪(びんぱつ)を剃除(たいじょ)して、台嶺(たいれい)に赴き、修学研讃二十年、広く南岳天台の玄風を訪い、深くりょうごん横川の余流を汲みたまう。しかれども出離生死の縁、見極め難く、ついに山を降りて救世菩薩の告命を受け、雑行を棄てて本願に帰したまいき。それよりこのかた、あるいは北海の僻地に辺境の群類を教え、あるいは関東の山野に苦悩の有情を導き、晩年、京洛の巷に還りてはあまたの聖教を著して、化を末代に垂れたまう。悲しきかな、時に弘長二歳仲冬下旬、頽齢(たいれい)は九旬に満ちて、三界は無常の道理を示し、念仏の息絶えて往生浄土の素懐を遂げたまう。爾来、ここに七百幾十年、徳音は無常の風に隔つといえども、温顔は目のあたり明らかに、遺訓ますます盛んにして、遠く外つ国に及べり。今や三宝の紹隆のとき、我ら遺弟、年々に報恩講をあい勤め、各々(かくかく)に報謝の誠を表わしたてまつる。
希わくは、末代の道俗、称名の声、朗らかにして、金剛の信心いよいよ固く、無碍の一道の歩みを進めて倶会一処(くえいっしょ)の歓喜(よろこび)に値(あた)わんことを伏して請う。
如来、大悲を垂れて哀愍納受したまえ。
敬って白す
▼ただ、いたずらに倖せだけを求めている、そんな生活に沈んでいく私たちの人生…。こんな私たち一人ひとりに倖せよりも真実を求めよと、呼びかえして下さるのが親鸞聖人ではないでしょうか。報恩講はそんな声に耳を澄ませて、共に歩みを確認する真宗門徒として一番大切な御仏事です。
▼相撲町浄願寺に於いても去る、十二月四日から六日までの三日間(二昼夜)にわたって報恩講法要がつとまりました。ここに報告させて頂きます。
▼法話では藤井善隆先生から一貫して、「生死(しょうじ)を超える道」について聞かせて頂きました。死から目をそらし、いかに生を謳歌することしか考えない現代人…。そんな私たちの生き方をきびしく指摘されました。また、赤松豊永さんからの野洲駅の話も刺激的でした。このごろ、階段で困っている身体障害者の人に誰も声をかけようとしない。そんな問題に対して私たち日本人は、野洲駅にエレベーターを設置して解決しょうと考えてしまいがちです。エレベーターが設置されることによってますます、誰も声をかけなくなることになるのに…と話されました。
▼前座法話では越本達了さんから日ごろのこころについて、曽我謙成さんからピーナツ事件の話、樋上聡さんからは報恩講の準備をする人たちの大変さを、清水英昭さんからはとても元気な話を聞かせて頂きました。
▼拝読文は、樋上聡さん、木村英淳さん、清水英昭さん、長尚澄さんにお願いしました。
▼また、杉田真一さん、黒田真さん、禿子慈孝さん、山階誠さん、高山崇さんにも内陣出仕をして頂きました。
▼そして、満日中では清水英昭さんの伽陀の発声で私が登高座をし、そこで表白(表紙参照)を読みました。下高座の後、如来大悲の結讃は樋上聡さんにつとめて頂きました。
▼こうして、今年も報恩講に遇わせて頂きました。終始、外陣にて助音をつとめられましたご門徒さん、準備から色々とお世話をして下さいました総代さん、婦人会の皆さん御苦労様でした。
十二月四日(金)
■午後二時 初逮夜
御伝抄拝読
上巻 澤面宣了(当寺住職)
下巻 樋上聡さん(東本願寺)
十二月五日(土)
■午前六時 晨朝
御文拝読 木村英淳さん(大阪 玉泉寺副住職)
法話 赤松豊永さん(山陽 常念寺副住職)
■午前九時半 日中
御文拝読 清水英昭さん(四国教区駐在教導)
前座法話 越本達了さん(大阪 専光寺副住職)
法話 藤井善隆先生(大阪 即応寺住職)
■午後一時 大逮夜
御文拝読 長尚澄さん(元浜 願養寺副住職)
曽我謙成さん(一色 等倫寺住職)の前座法話
法話 藤井善隆先生(大阪 即応寺住職)
十二月六日(日)
■午前六時 結願晨朝
御文拝読 澤面章氏(当寺前住職)
前座法話 樋上聡さん(東本願寺)
法話 藤井善隆先生(大阪 即応寺住職)
■午前九時半 満日中
御俗姓拝読 澤面宣了(当寺住職)
前座法話 清水英昭さん(四国教区駐在教導)
法話 藤井善隆先生(大阪 即応寺住職)
●曽我謙成さん
(一色 等倫寺住職)
●越本達了さん
(大阪 専光寺副住職)
●赤松豊永さん
(山陽 常念寺副住職)
●長尚澄さん
(元浜 願養寺副住職)
●樋上聡さん
(東本願寺)
●清水英昭さん
(四国教区駐在教導)
●山階誠さん
(泉 了願寺副住職)
●杉田真一さん
(大阪 即応寺衆徒)
●黒田真さん
(宮司 満立寺副住職)
●高山崇さん
(山階 円乗寺住職)
●禿子慈孝さん
(北方 通来寺副住職)
●木村英淳さん
(大阪 玉泉寺副住職)
▼今号で特集しました報恩講の写真は、森本浩実(坊守真世の妹)さんに撮って頂きました。写真をはじめ食事のお世話等、何から何まで、本当にありがとうございました。
▼そんな中から一五枚を選んで掲載させて頂きました。↓
見づらい白黒写真ですいません…。