テーマ わたしの出会った大切なひと言 2(32号)

2003(平成15)年9月1日


表紙

「親なればこそ、死んだ子に育てられる。」

 昨日、主人とケンカをしてしまいましたが、今朝、おつとめの後、
「お母さんはお父さんばかり責めているけれど、そんなにお母さんは立派なの?」
 と、亡くなった子に声をかけられている気がしました。
 私がいつも我慢し、家族を支えている、そんなふうに高上がりしている自分の姿を、死んだ子が一つひとつ気づかせてくれます。
 林暁宇先生にいただいた言葉どおり、死んだ子に育てられる親でありたいと願っています。
                
谷本啓子(千葉県松戸市・49歳)


「あなたが、生まれたい生まれたいと言って
生まれてきたのよ。」

 終戦前年生まれの私が思春期の頃、自分の存在に何の意味もないと思え、母にボソッと「大人の勝手な欲望で子どもを産むんじゃない」と言ってしまった。母は、静かに上記のように答えた。この一言が、アレコレと迷っていた私の心に抵抗なく入ってきた。
 反抗期はこれだけで終わり、生まれる者の意志をボンヤリながら感じて、心の足がやっと地に着いたようだった。
 やがて私も母となった。そして、かつての自分と同じように思い悩む年頃になったわが子が、脱皮し、成長していく時、この一言は、そのたびに私のお腹の中で響いたのだった。
              
菊地アキ(栃木県塩谷郡・53歳)主婦

『わたしの出会った大切なひと言』真宗大谷派東京教区・編より

▼住職から最後のひと言
亡き人からの声と、私の中にある声に耳を澄ませたい…。
そんな外の声と内の声が人を歩ませる。私を歩ませる。


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