■4月17日、泉惠機先生(長浜教区清休寺住職 上山田)が参られました(還浄)。差別・被差別からの解放運動に生涯を尽くされた先生は、浄願寺の永代経法要(下写真)をはじめ、色んな場所で実に大切なことをお話くださいました。その中で今ひとつ思い出されることがあります。
■先生は幼い時にご両親と死別され、おばあさんに育てられました。それは厳しいおばあさんから数々のことを躾られたそうです。その中で必ず寝る前と起きる時に布団を拝めと強く言われました。布団の上に正座して合掌するのです。
■私はこの話を聞いた時は驚きでした。私は未だかつて一度も布団を拝んだことはありません。それどころか今日まで全身で踏み続けてきた毎日です。
■考えてみれば、布団は朝、一日の活力をくださり、夜、一日の疲れを取ってくださいます。その布団を拝めと教えられるのです。
■私の全身で踏みつけているその一番身近で気づかない布団。それをどうか拝めと願うおばあさん。知らず知らずのうちに、私の存在そのものが他者を踏みつけている事実に立ち、差別・被差別からの解放運動に生涯を尽くされた先生の基に、いつもおばあさんがおられるのだと思います。
■私もここ数年まったくの真似事ですが布団に手を合わせています。
住職記
▲2014年3月9日 法話 泉惠機先生 浄願寺永代経法要
▼2017年6月13日早朝、泉先生から電話がありました。その日の夜、先生の組である第21組の部落問題研修会の出講に対し、内容が「是旃陀羅」問題ということから、「21組に来てくれるんやな、ご苦労さんやな」の言葉に始まり、色々とアドバイスを頂きました。この頃はかなり体調がすぐれなかったはずなのにわざわざです。実はこれが最後だったのです。先生には最初は何度か怒られましたが、親鸞聖人を大切にされた優しくて素敵なお方でした。先生と同じ道を私も歩みたいと思います。先生…本当にありがとうございました。
▼浄願寺御遠忌法要実行委員会、「部落差別問題等に関する協議会」のバックナンバー詳細等はホームページですべてごらんになれます。