テーマ 東京オリンピック・パラリンピックに自問する(208座)

2021(令和3)年7月1日

表紙

フクシマ事故の下で苦しみ続けている人たちの救済こそ、最優先の課題である。少なくとも、罪のない子どもたちを被曝から守らなければならない。それにもかかわらず、この国はオリンピックが大切だという。内部に危機を抱えれば抱えるほど、権力者は危機から目を逸らせようとする。そして、フクシマを忘れさせるため、マスコミは今後ますますオリンピック熱を加速させ、オリンピックに反対する輩は非国民だと言われる時が来るだろう。先の戦争の時もそうであった。マスコミは大本営発表のみを流し、ほとんどすべての国民が戦争に協力した。自分を優秀な日本人だと思っていればいる人ほど、戦争に反対する隣人を非国民と断罪して抹殺していった。しかし、罪のない人を棄民したまま「オリンピックが大切だ」という国なら、私は喜んで非国民になろうと思う。フクシマ事故は、巨大な悲劇を抱えたまま今後 100年の単位で続く。膨大な被害者を横目で見ながら、この事故の加害者である東京電力、政府関係者、学者、マスコミ関係者などは、誰一人として責任を取っていない。処罰もされていない。それを良いことに彼らは、今は止まっている原子力発電所を再稼働させ、海外にも輸出するとまで言っている。 原子力緊急事態宣言下の国で開かれる東京オリンピック。それに参加する国や人々は、もちろん一方では被曝の危険を負うが、また一方では、この国の犯罪に加担する役割を果たすことになる。
『フクシマ事故と東京オリンピック』小出裕章著より

東京オリンピック・パラリンピックに自問する(住職記)

■2021年7月23日〜東京オリンピック・パラリンピック開催に対して、相次ぐ民意の批判の中、私も同じく異を唱える者です。

■2011年3月11日、東日本大震災から今もなお被災者の苦しみと悲しみが消えることはありません。あれから10年、またしても原発の加害者である日本政府から東京オリンピック・パラリンピックが開催されようとしています。アスリートに直接申しませんが責任は皆があるのです。

■表紙の文章は2019年12月の発行であり、コロナ禍になる前に書かれたものです。つまりこの文章に加えてコロナ禍の真っ只中にも関わらず、日本政府は「安全安心」などと宣いながら東京オリンピック・パラリンピックを強行開催するのです。なんとも恐しいことであると思います。

■ビートたけしさんの言葉

「晩年の日本兵みたいなもんじぇねえか。第2次大戦で失敗した原因が、(負けている状況でも)『まだ勝ってる』って言ってたんだから」

これに対して、ネットのコメント欄は、「本当にそう思う! トップの保身と欺瞞及び視野の狭さから『いつか通った道』を再び通ろうとしている」などと、発言を支持する声であふれた。   『日刊ゲンダイDIGITAL』より

とあります。また重ねて次の文章を紹介致します。

原発問題は、誰かを責めて解決するものではありません。原発に反対する人が、自分は正しいという思いに立って事を進めるならば、たとえ将来原発が全廃されたとしても、私たちの社会には、また形を変えて新たな問題が生じることになるでしょう。われわれ人間の心の闇が原発を生み出したことを、決して忘れてはならないと思います。
『ラジオ放送「東本願寺の時間」茨田通俊/大阪 願光寺』より

■勿論、それは決して中立に立つことではありません。表紙の文章、特に「罪のない子どもたちを被曝から守らなければならない」の言葉を胸に置き私たち大人は、おかしいことはおかしいと声を上げねばなりません…。

編 集 後 記

▼小出裕章さんが東日本大震災の後、五村別院に於いて脱原発を訴え、強く話されたことは今も心に残っています。

▼表紙の文章、「ほとんどすべての国民が戦争に協力した」からやはり思い出される人は、非戦と平和を訴え、そのことによって「非国民」として明治政府から弾圧された高木顕明さんです。

▼今はビートたけしさんの言葉等、過去の国民の意思とはだいぶ違う状況でありますが、私自身、高木顕明さんと同じ方向を歩む者でありたいと思います。(浄願寺通信132座、207座に触れさせて頂きました。)

▼浄願寺通信132座を見る


▼浄願寺通信207座を見る


6月5日 浄願寺御遠忌法要実行委員会 渉外部会議が開催されました。▼詳しく見る


6月12日 御遠忌法要実行委員会 正副委員長・正副部会長会議が開催されました。▼詳しく見る


6月14日  「部落差別問題等に関する協議会」が開催されました。▼詳しく見る


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